カウンセリングの目標は何かと言われれば,相談者が「自分で自分のケアができるようになる」ことだと思います。
新型コロナが猛威を振るう中で,セルフケアはより重要になっていると思います。
ただ,効果的なセルフケアの方法は人それぞれ。どんなものが合うかはやってみないと分からない。なので,心理屋としてはセルフケアのアイデアをたくさん持っておく必要がある。
著者はスキーマ療法(認知療法を発展させたもの)の第一人者。
セルフケアを「自分で自分を上手に助ける」こととして,100の方法を紹介しています。
本書は10章で構成され,各10個のワークが書かれています。
1. とりあえず,落ち着く
2. 誰かとつながる
3. ストレッサーに気づいて書き出す
4. ストレス反応に気づいて書き出す
5. マインドフルネスを実践する(身体,行動,五感を使って)
6. マインドフルネスを実践する(思考,イメージ,感情に気づいて手放す)
7. 小さなコーピングをたくさん見つけよう
8. 生きづらさの「根っこ」と「正体」を見てみよう
9. 「呪いの言葉」から「希望のことば」へ
10. 「内なるチャイルド」を守り,癒す
認知療法のキモである,自分の思考・感情・気分・身体反応に気づく具体的な方法。
個人的には,とにかく手を動かすティッシュちぎり,鍵をかけたTwitterアカウントをつくりストレッサーをツイートしまくる(誰にも見られない),あとウンコのワーク(!)が気に入りました。
伊藤絵美先生の著書は「なんかカタイなあ」という印象がありましたが,本書はすごく取っ付きやすかった。なんでも,本書で紹介している方法は,私生活での危機を乗り切るために自分自身が取り組んだものだとか。
「道具箱」という表現もいいですね。
セルフケアの具体的なアイデアだけでなく,認知療法やスキーマ療法の進め方も知ることができる一冊です。
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